2010年11月13日

わかりにくい見出し (20)

 
ニュース記事の見出しの あげあしとり の 20回目です。「アゲアシ トリ」とのちがいは、こちらが わかりにくい見出しを対象としている点です。見出ししか読まないひともいらっしゃるようですので、わかりやすい見出しをつけていただきたいものです。


》ひったくりにご注意! 同一犯がわずか3分間で3件被害《

 もとの見出しは《ひったくり注意 同一犯?3分間で3件 越谷市内で8万6000円被害》でした。これを改変してしまった見出しなのです。
 犯人が3分間に3件のひったくりにあったように読めてしまいます。



》竜馬の拳銃、銃刀法違反? 公務員管理が条件と展示中止《

 この見出しでは龍馬愛用の拳銃が展示されたものと思ってしまいます。記事にあるような「竜馬愛用のものと同型の拳銃」とは理解できません。
 別のメディアは《龍馬記念館:愛用と同型拳銃「銃刀法違反の疑い」で撤去》としています。



》タンゴで日本人女性のペアが優勝 第8回世界選手権《

 日本人女性のペアの一方が男装して出場したのかと思いました。日本人女性とアルゼンチン人男性とのペアでした。昨年優勝した日本人夫婦については日本人ペアとしています。
 この場合 どのような見出しをつければいいのか、これは むずかしいことですね。



》「取って」と「撮って」勘違い 高圧電流架線へ素手で…《

 架線に素手でさわったと読んでしまいます。「垂れ下がったビニールをつかんで取り除いた」ということですので正確ではない見出しです。
 別のメディアでは《「撮って」を「取って」と勘違い 女性車掌が素手で高圧線の異物除く》と していました。



》手塚治虫氏愛用のベレー帽販売 宝塚の記念館《

 愛用のベレー帽が販売されるのではなく、おなじメーカーのおなじ型のベレー帽が販売されるのでした。



》康夫ちゃん嫁「W嬢」輩出 北の才女集う名門女子高とは? 《

 田中康夫氏の嫁になる女性が何人もいるわけではありません。「輩出」の意味をとりちがえていますね。記事をみてみると、《同校のOGには、民主党の徳永エリ参院議員(48)やシンガー・ソングライター大黒摩季(40)、TBSアナウンサー小林悠さん(25)らがいる。》と書かれています。「北海道内の才女が集まる学校」だそうです。
 助詞をおぎなって「輩出」をさけると、“康夫ちゃんの嫁「W嬢」が卒業 北の才女集う名門女子高とは? ” でしょうかね。


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2010年11月12日

アゲアシトリ (40)

 
いいまちがい、かきまちがいなど、たいした“日本語くずし”ではないことを アゲアシトリとしてメモしたものの40回目です。


●会う約束をしていた人が突然亡くなった経験は、私にはこれが最初で最後だ。

──現役の新聞記者の書いたコラムにありました。はじめての経験ではあったのでしょうね。それが最後の経験であるといえるのは本人の死の直前だけです。この記者、これから死ぬのでしょうか。



●分厚い少年ジャンプの半分ぐらいまで簡単に貫通した。

──雑誌の半分くらいのところまでの各ページを貫通したという意味なのでしょうね。
貫通:
 @中を貫いて反対側に抜けること。「トンネルが─する」「弾丸が肩を─する」(スーパー大辞林3.0)
 @ある物の中を貫いて通ること。「トンネルが─する」「鉄道が町の中心部を─する」(大辞泉)
 そこに穴・を開けて(が開いて)反対側まで抜けて通ること。「─銃創[=↔盲管銃創]) (明解国語辞典第4版)



●責任をしてくれるかどうか

──国会質問にあらわれた表現です。
「責任をする」という表現にひっかかりました。通常は “責任をとる” “責任をになう” でしょう。



●ロシア元美人スパイ、銀行顧問に 宇宙船打ち上げを視察
●ロシア元美人スパイ銀行顧問に、すでに宇宙基地視察

──見出しです。
 いまは美人ではないようですね。もとから美人とはおもえませんでしたが、「首なし美人死体」という表現もあるようですので……。



●入り込む砂は劣化の敵

──見出しです。記事には「外観に異常は見られないが、築浅の建物にもかかわらず野地板ボロボロに劣化していた──。原因はスレート板や瓦のすき間に入り込んだ砂にあった」という記述があります。
 見出しとは逆ですね。砂は劣化をひきおこす、“劣化の味方” ということです。“劣化の味方” といういいかたは変ですので “劣化の原因” とするのが いいでしょうね。



●大阪地検特捜部の押収資料改竄(かいぜん)事件で威信を失った検察当局

──わざわざ 常用漢字表外の文字をつかって よみがなを つけるのは この新聞社らしいのですが、つけた よみがなを まちがえるのは いただけません。「竄」には サンとザンのヨミしかありません。


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2010年09月24日

アゲアシトリ (39)

 
いいまちがい、かきまちがいなど、たいした“日本語くずし”ではないことを アゲアシトリとしてメモしたものの39回目です。


●国会などでの説明責任に応じないことなどを受け

 ──「説明責任不十分」という見出しの奇妙さのために記事を見たところ、「説明責任に応じない」にひっかかりをおぼえました。「説明責任」に対応するのは“はたす”でしょうね。“国会などで説明しない”、“国会などでの説明要請に応じない”では  いけないのでしょうか。


●気流が不安定な山岳地帯でホバリングで空中静止しながら救助活動する時間は非常に操作が難しく危険な“魔の時間”とされる。

 ──「ホバリングで空中静止しながら」は重複表現ですね。


●アップル上級副社長が退社 iPhone4技術責任者
●米アップル、「iPhone」の技術責任者が退社
●米アップル上級副社長が退社 iPhone4の技術責任者

 ──会社をやめることを退社ということはあるのでしょうが(新明解国語辞典第4版)、同辞典は入社の反対語も、出社の反対語も退社としております。広辞苑第6版も、入社・出社、どちらの反対語も退社としています。

普通は、退社は出社の反対語として使われています。やめるばあいには退職を使用して区別しています。

つぎの見出しのように、「退職」とするのが適切でしょうね。
 《アップルのハードウェアエンジニアリング担当幹部が退職--アンテナ問題が影響か》
 《「アイフォーン4」技術責任者アップル辞職》

なお、退職の反対語は就職がすっきりしますが、実態は就“職”ではなく、就“社”ですね。就社であれば やめるのは退社でいいことになりますが、会社から かえるときに 退社とはいいにくくなりますね。帰社は会社にもどることですし。漢字使用は まぎらわしいものですね。


●黒字明朝体の町名表示の書き手も募集する

 ──京都市内にある町名表示板を増設することになり、たて'ながのホウロウ板に文字を毛筆で書くひとを募集することになった──というニュースです。(ここに写真があります)
 毛筆で明朝体の文字をえがくことはありますが、それはデザインの仕事です。町名表示板の文字は明朝体ではないようです。楷書体にちかいようですね。モノゴトを知らない新聞記者がここにもいましたよ。


●紙製のすくい網(ポイ)を使って

 ──「網」というのは 編んで あるいは 編んだ形状に つくられたものです。大辞林には@の(ィ)に「魚や鳥などを捕らえるのに用いるもの」と書かれておりますが、そのものは「@糸や針金などを編んで枡形ますがたの目を表したもの」ですので「ポイ」を「網」というのは適切な用語法ではありませんね。


●スマトラ島で400年ぶりに休火山噴火
●休火山、400年ぶり噴火 インドネシア、2人死亡

 ──1万年以内に噴火した火山を活火山とするのが国際的に主流であるため、日本では2003年に定義が変更せられたそうです。今回噴火したシナブン山は1600年に噴火しているそうですから立派な活火山ですね。
 なお、国内には「休火山」はありません。富士山も活火山です。



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2010年09月22日

わかりにくい見出し (19)

 
ニュース記事の見出しの あげあしとり の 19回目です。「アゲアシ トリ」とのちがいは、こちらが わかりにくい見出しを対象としている点です。見出ししか読まないひともいらっしゃるようですので、わかりやすい見出しをつけていただきたいものです。


》王室結婚式、3通信社が取りやめ スウェーデン《

 この見出しで通信3社がスウェーデンの王室結婚式の報道の発信をとりやめたのだとわかるでしょうか。


》「福男選び」コース変更で一層難しく 西宮神社《

 「福男選び」はむずかしくはありません。簡単なことです。開門と同時に走りはじめ、ゴールインした上位3人が認定されるだけです。コースが変更されても「福男選び」がむずかしくなるなどということはありません。ゴール前のカーブがきつくなり、走るコースのとりかたで せりあい・つぶしあいがおこるかもしれない、ということのようです。つまり、「福男選び」がむずかしくなるのではなく、「福男に認定されること」がむずかしくなると伝えなければならないのです。見出しのつけようが むずかしいとみえます。


》「死なせておわびする」
仲田被告、声詰まらせ謝罪 花見川母刺殺次女監禁《

 「死なせておわびする」とは、おわびのために犯人に自殺させる、ということとも読めます。これは、中田被告が《「次女のお母さんを死なせてしまったことをおわび申し上げます」と声を詰まらせ、謝罪した。》ということでした。


》熱中症で農作業の87歳男性が死亡 奈良県明日香村《

 熱中症になっているのに農作業をして死亡した──と思われてもしかたのないところです。文章中であれば「熱中症で、」と読点を打つところです。”農作業の87歳男性が熱中症で死亡” とすれば「熱中症」という文字がめだちにくくなると考えたのでしょう。


》海保ヘリ墜落はデモ飛行の合間 司法修習生が体験乗船《

 見出しだけでは意味不明です。司法修習生がヘリに乗っていたのかと勘ちがいしそうです。しかし、「搭乗」ではなく「乗船」としているので、なんとなく おかしいな と感じることでしょう。
 体験航海中の司法修習生にむけたデモンストレーション飛行中の墜落であったそうです。
 “海保ヘリ墜落は廃船調査と司法修習生の体験航海での2回目のデモ飛行との合間” ということを書くことになるので、みじかい見出しでは表現がむずかしいとおもいます。


》いろは坂102キロで二輪走行 容疑の会社員逮捕 日光署《

 なんとまあ すごいテクニックを有しているのだなあ、と思いながら記事を読んだのですが、おおまちがい。四輪車の二輪走行ではありませんでした。
 “いろは坂で二輪が102キロで走行”
 “いろは坂で二輪102キロ走行”
であれば勘違いはなかったことでしょう。


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2010年07月20日

アゲアシトリ (38)

 
いいまちがい、かきまちがいなど、たいした“日本語くずし”ではないことを アゲアシトリとしてメモしたものの38回目です。


●対象区間の走行分は、自動料金収受システム(ETC)を利用しても現金払いでも車種に関係なく一律無料となる。

 ──「現金払いでも(略)無料になる」という箇所にひっかかりをおぼえました。現金を払わないのですからね。
 “自動料金収受システム(ETC)を利用しても しなくても” とか “自動料金収受システム(ETC)利用の有無や” とする方が落ちつきますね。



●2008年度の1年間で国民1人当たりにかかった医療費は、75歳以上の後期高齢者医療制度では85万5606円だった(略)最も低い大企業の健康保険組合(12万280円)と7倍の差があった。


 ──前回の○倍と同様、○倍のことなのですが、この記事では「差」としております。1 と 10 とを比較して10倍の差といっていることになります。差を 9 ではなくて 10 としているようなものです。おかしなことですね。



●民主党の選挙運動の標語やスタイルから離れ、人里離れた地区で少数の群集を前に小沢氏は菅氏の政策を手厳しく批判した。

 ──「人里離れた地区で」演説などするものでしょうか。聞いてもらいたいからこそ演説をするのですからね。原文では「in remote back-country locations」となっておりました。「Asago, Hyogo Prefecture」に「兵庫県朝来(あそご)」という日本語をつける翻訳者ですから、質が低いんでしょう。



●仕分け大臣、ダントツ「1番」 蓮舫さん170万票

 ──見出しです。「ダントツ」は “断然トップ” の略語なのですから、《ダントツ「1番」》は しつこい表現ですね。
 関連エントリー:ダントツトップ



●当選ラインが10万票と他党に比べて低くなったことも大量当選の要因となった

 ──《[参院選]業界団体の集票力激減 鞍替え、二股… すべて裏目 労組が手堅く10人当選、内実は…》という見出しのこの記事の最後の段落の全文は
民主党は比例代表で1845万票を集票したが、政党名での投票が8割近くを占めた。このため、民主系の労組候補は当選ラインが10万票と他党に比べて低くなったことも大量当選の要因となった。労組丸抱えの選挙活動への世間の批判は強まりつつあり、旧態依然とした選挙戦術では将来の展望は開けない。
というものです。
 「当選ラインが10万票と他党に比べて低くなった」要因は、「政党名での投票が8割近くを占めた」ために個人得票数が少なくなったことにあります。
 大量当選の要因は、「当選ラインが10万票と他党に比べて低くなったこと」にあるのではなく、政党で一番多い得票数である「1845万票を集票した」ことにあるのです。
 原因と結果とをみさだめられないほど記者の質が低いのでしょうね。また、最後の一文をおなじ段落にいれるのは適切ではないでしょう。



●かつての鯨組男衆と同じ赤のしめこみ姿で勢子{せこ}船4隻に乗り込んだ。

 ──「赤のしめこみ姿」と書かれています。見出しにも「古式のっとりクジラ取り、赤のしめこみ勇ましく」と「赤のしめこみ」とあります。“しめこみ” は“ふんどし”の一種ですが、“ふんどし”と同義ではありません。〈写真〉では “しめこみ”ではないことがわかります。赤色の“六尺ふんどし”、いわゆる “赤ふん” です。相撲や博多山笠では“しめこみ”を着用していますので混同してしまったのかもしれませんね。
 “しめこみ”や“六尺ふんどし”だけではなく、“越中ふんどし”や“割りふん”、“もっこふんどし”も“ふんどし”です。わたしは六尺・越中・わりふん を愛用しています。



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