2009年10月16日

わかりにくい見出し (16)

 
ニュース記事の見出しの あげあしとり の 16回目です。「アゲアシ トリ」とのちがいは、こちらが わかりにくい見出しを対象としている点です。


》ビル外壁5階から「ドシャン」タクシー直撃 新橋駅付近《

 カギカッコに入れて「ドシャン」と書かれているので、ビルの外壁の5階部分にあった「ドシャン」とよばれる特別なモノが落ちたのだろうとおもいました。そして、「ドシャン」とは どういうものなのかと気になって記事を読んでしまいました。「ドシャーン」という大きな音が出たのだとはね。



》麻生氏−首相選択選挙でない 党首は顔見せよ−鳩山氏挑発《

 麻生氏が鳩山氏を挑発しているかのように読みとってしまいます。しかし、それにしては、「首相選択選挙ではない」と「党首は顔見せよ」とは あい反した言いようです。変だなと感じ、本文を読むと、麻生氏が「首相選択選挙ではない」と言い、鳩山氏が「党首は顔見せよ」と麻生氏に言ったのだとわかります。
 紙面であれば、2行にわけるとか、ヨコ見出しとタテ見出しとに わけるとかするのでしょうが、ネット上では1行に表示されています。この記事は通信社のものですので、紙面では、配信をうけた新聞社が適切に処理するのだとおもいます。ネット上でも わける方がいいでしょうね。



》絶滅したはずの鳥は偽名で生きていた《

 記事中には「絶滅したはずの鳥、タスマンアオツラカツオドリが名前を変えて生きていたことがわかった。」という記述があります。鳥が名前を変え、偽名を使うわけがないではないですか。命名するのは人間です。別種だけれども近い種、近縁種だとおもわれていた鳥が、DNA鑑定をしたところ、同種であることが判明した—というだけのこと。



》またも誤読を連発、麻生首相「軽率だった」《

 いくつの語を誤読したのでしょうか。「連発」としています。
 党首討論会は NHK-R1 で わたしも聞いておりました。気がついたのは「みずも」だけでした。記事中には「連発」の文字は見られません。「水面」を「みずも」と言ったという、この一語だけのようです。
 これまで何度も誤読を繰り返しており、またもや誤読した—これを「連発」とは いいません。
 なお、「水面」については⇒「水面/みなも/みのも」 (2009-08-20)



》広重の浮世絵を150年ぶり復刻 版木一式を発見《

 写真のキャプションにも《発見された歌川広重の浮世絵の版木(右)と、約150年ぶりに復刻された「隅田堤闇夜の桜」》とありました。
 版木を「復刻」したのではなく、発見された版木をつかって印刷したのでした。“重刷”ですね。



》首相、赤字国債増を容認 過去最大90兆円台半ば《

 赤字国債の額が90兆円をこえるように読んでしまいます。2009年度のそれが44兆円あまりですので、倍増するのかと驚かされます。予算要求額が90兆円なのですね。


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2009年10月12日

アゲアシトリ (33)

 
いいまちがい、かきまちがいなど、たいした“日本語くずし”ではないことを アゲアシトリとしてメモしたものの33回目です。


●かわいすぎる海女さんたちが自らを“封印”する一方、猛アピールする海女もいる。“男性版”海女として志摩湾(三重県)で活躍する杉山裕介さん(27)と清水健太さん(21)のコンビだ。2人とも海女歴3年の若手だが、モデル級のイケメンぶりが女性観光客や海女仲間に人気という。

 ──「“イケメン海女”」という表記もあり、数カ所で“男性のアマ”に「海女」という漢字をあてています。男性のアマには「海士」という漢字がつかわれます。「海人」だと男女ともにつかえるでしょう。



●党員のみなさんにお訴えをいたしたいと存じます。

 ──どうにも“すわり”の悪い文です。「お訴え」をするのは言っている本人ではないのですかね。話し手の行動であっても相手に関するものだと敬語をつかうのですが、「お訴えをいたしたいと存じます」には おちつきの悪さを感じます。上訴状をさしだしつつ「お訴えいたします」という江戸時代の状況は うけいれられます。裁判をおこすときには相手に敬語をつかうことはないので、「訴えます」ということでしょう。



●○○さんは才色兼備の持ち主。

 ──重複表現といえるかもしれません。



●パ・リーグ:楽天、球団創設初のCS初進出…西武を破り

 ──見出しです。これも一種の重複表現でしょうね。「球団創設以来のCS進出」 「球団初のCS進出」あたりでしょう。
 後刻、見出しが「楽天:CS進出 球団創設5年目で初」に変わりました。



●ここまでの提供は、○○と、xxの提供でおおくりしました。

 ──放送原稿はあったのでしょうか。



●大阪の少年不明・ドラム缶遺体 つっかえ棒など細工、周到に準備

 ──“つっかい棒”が普通のいいかたです。新明解国語辞典第4版の“つっかい”の項目には意味として「つっかえ」が書かれておりますが、「つっかえ」という項目はありませんでした。広辞苑第6版・デジタル大辞泉2009i ver.3.0・スーパー大辞林3.0 には見あたりませんでした。
 「のどに つっかえた」という言いかたはありますが、これは「つかえた」が変化したものです。
 「つっかえ棒」は地域語でしょうか。


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2009年09月28日

アゲアシトリ (32)

 
いいまちがい、かきまちがいなど、たいした“日本語くずし”ではないことを アゲアシトリとしてメモしたものの32回目です。


●このほか、お盆の時期に沖縄で行われる伝統行事「エイサー」で人が集まって感染機会が増えるからという「エイサー説」、冷房をかけて湿度が下がり、感染しやすくなった室内に大勢の人が集まるからという「冷房説」など諸説あるが、真相は定まっていない。

 ──「真相は定まっていない」としております。真相は「定まる」ものではないでしょう。「真相はわからない」とか「真相は判明していない」とするところでしょうね。



●このあとも 大阪から 是非 おつたえ いたします

 ──どう言いたかったのでしょうね。このあとも大阪から おつたえいたしますので 是非 お聞きください—なのでしょうか。



●投票箱を開けてみたら、配った数より投票用紙が1枚多かった。

 ──配った数よりも多いわけはないでしょう。配りすぎたということですね。確認した投票者数よりも多かった と いうところでしょう。



●きょうから9月1日です

 ──きょうから9月です—と言いたかったのでしょう。



●熱中症:日陰で車の窓全開でも注意…駐車場の実験で判明

 ──見出しです。「駐車場の実験」ではなくて「駐車場での実験」ですね。



● 「シャロン・テート事件」は米ロサンゼルスの住宅で映画監督ロマン・ポランスキー氏の妻テートさんら5人が惨殺された。

 ──主語と述語がマッチしておりませんね。「されたもの。」と 2文字くわえるだけでいいのに。



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2009年09月06日

文化庁の「平成20(2008)年度 国語に関する世論調査」から

 
「平成20年度 国語に関する世論調査」の結果が公表された

常套句や ことばの意味をどのように把握しているかを問うている ふたつの設問で使用された ことばは つぎのものだった。

  采配を振る
     —采配を振るう
  お眼鏡にかなう
     —お目にかなう
  火を見るより明らかだ
     —火を見るように明らかだ
  石にかじり付いてでも
     —石にしがみ付いてでも
  噛(か)んで含めるように
     —噛(か)んで含むように
  手をこまねく
  時を分かたず
  破天荒
  御の字
  敷居が高い

「采配を振るう」は “暴力をふるう” からの連想であろう。

「お目にかなう」は “お目にかかる” からであろうか。

「あれが火事であることは、火を見るよりも明らかだ」という筒井康隆のクスグリを思いだした。(作品名はおぼえていない。なにであったろうか。『アフリカの爆弾』という短編集のなかの1篇だったろうか)

石には歯がたたないから「しがみつく」方を選んだのか。

“噛んで含める” の意味を知っておれば まちがうことはなかっただろう。

「手をこまねく」(“手をこまぬく”が本来のいいかた)の誤解は、「こまぬく」の意味がわからず、手をこすりあわせているさまを連想しているからではなかろうか。

「時を分かたず」ということばを見聞きすることは ほとんど ない。時を分けないのだから「すぐに」だと考えたのであろうか。分けて離さないのだから“常時”だ とは考えが およばなかったのであろう。普通は「時を分たず」ではなく “いつも” と いうのではなかろうか。

「御の字」は 落語を聞いておれば すぐに わかることばだ。

日常、これらの ことばを使用しているのだろうか。使用頻度が さほど高くないのではないだろうか。使用しないからといって その意味を知らなくていいものではないが、なじみがなければ意味を知らないのも いたしかたなかろう。

新聞社や放送局は これらのことばが 正確に使われていないということを報道しているが、そのメディア自体、ことばを正確に使用していないことが多い。

「破天荒」はテレビ・ラジオで聞かれることばであるが、ほとんどが誤用だ。“ハチャメチャ” の意味で「破天荒」を使用している。

「敷居が高い」はテレビドラマで しばしば聞かれることばだが、設問に用意されている誤用選択肢の「高級過ぎたり,上品過ぎたりして,入りにくい」の意味で使用せられている。

このふたつはマスメディア自身が使用することで誤用を拡散・浸透させている例だといえる。過去に「国語に関する世論調査」で取りあげられた ことばの誤用を いまでも見聞きする。“のどもと過ぎれば熱さを忘れる”という たとえのように、報道はしても、みずからの誤用を正すことはしないのがマスメディアということか。

日本語のわからない人間が記者・アナウンサー・放送原稿ライター・シナリオ作家になっているのだから、しっかりと教育しなければなるまい。


平成20年度「国語に関する世論調査」の結果について》(文化庁)


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2009年08月26日

重複表現 いろいろ

 
メモしていた 最近の 重複表現を まとめて しるしておきます。

《近所の小さな山の山腹に神社があり、大楠がある。》
《チャレンジにいどむ》
《きょうは、炎天下のもと、》
《今の現状ではダメだと思います》
《死因は原因不明です》
《突然 容態が急変し》
《○○さんは妊娠していて、おなかの胎児も死亡したということです。》
《日本に何度も来日していた○○さん》
《守っていけることができる》
《今を遡ること1年半前》
《さかのぼること28年前》
《これに先立つこと数時間前》
《あと6日後にせまった日食》
《ジュンチョよぉ》

最後のは関西ことばです。説明が必要でしょう。「ジュンチョ」は「順調」なのです。「よぉ」は「よい・わるい」の「よい」の変化形の「よく」です。「ジュンチョよぉ」は「順調よく」といっていることになります。「順調です」を意味する「順調や」と言うかたもいらっしゃいますが、「順調にすすんでいる」を「ジュンチョよぉいってるで」 「ジュンチョよぉいっとぉで」 (後者は神戸ことば) と おっしゃる関西人も多くいらっしゃいます。


【関連エントリー】

「国語に関する世論調査」より−5 気になる言いかた」 (2006-08-04)
重複表現」 (2006-09-22)
http://torokko.sblo.jp/article/1468649.html」 (2006-10-16)
−が」 (2007-03-09)
こういうタイプの重複表現もあるのですねえ」 (2007-04-18)
"ら抜き"ことばと重複表現」 (2007-08-14)
"られる"ことばと重複表現」 (2007-08-29)
ダイジェスト」 (2007-09-20)
言いなおし−あれこれ」 (2007-11-02)
ダントツトップ」 (2007-12-22)
ありうるかもしれない」 (2008-08-07)
オリンピックの実況放送から」 (2008-08-21)
病人のかた〔重複表現〕」 (2009-04-13)
来客者用駐車場」 (2009-05-23)
コウゲンする」 (2009-06-05)
アゲアシトリ (26)」 (2008-08-21)
管理を移管〔重複表現〕」 (2009-06-24)


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 新聞記事を読んだり、ラジオを聞いたり、ブログを読んだりする時間が滅法すくなくなりました。そのため、気になる表現に であうことが へってしまいました。
 メモしているものを熟成させる時間も、これを ことかいている状態です。
 今後は、不定期に更新することになります。検索サイトから 当サイトに いらっしゃるかたは 全訪問者の およそ6割です。RSS で当サイトに おこしいただいているかたは 2割弱です。トップページから いらっしゃっているかたには、時間のムダを はぶくために、RSS に登録なさることを おすすめいたします。


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